うたた寝うたた寝午後の本部屋。 紙とほこりのにおい。 コーヒーはとっくに冷めている。 足下では猫がのびをしている。 あたたかな日差しが、足下に差してくる。 自然と、まぶたが重くなる。 視界が狭くなる。 --ああ、そうだ。 あのとき行った図書館の においは、こんなだったか。 ここも、そんなふうになってきたのかな。 記憶がふきだまる、迷宮のような 不思議な世界に。 -- 猫が足を齧った。 ふと我に返った。 私の迷宮は、まだちっぽけなものなんだ。 でも、ささやかな夢の世界なら その奥に広がる世界に 足を踏み入れることができるようだ。 せめて、うたた寝のなかで 巨大な迷宮を旅してみようか。 |